泣いた赤鬼。
赤鬼は泣きました。
いっぱいいっぱい泣きました。
泣いちゃダメだ、強くならないと。
泣いてる姿はもう見せないんだ。
そう思えば思うほど、涙は止まりませんでした。
でも、赤鬼は気づきました。
赤鬼が自分のことを押し付けていることに。
赤鬼は、自分のことをもっと分かってほしかったと言いました。
でも、赤鬼は相手のことを分かってあげようとしていませんでした。
理解してあげようと努力していませんでした。
自分は人の気持ちが分からないんだ、と自分の気持ちを押し付けていました。
赤鬼は自分は強くなろうとしているんだと言いました。
もう弱い自分は見せたくないんだと言いました。
でも、その未熟な強がりの中には、まだ、甘えや自分を見て欲しいという赤鬼の弱いところが丸見えでした。
でも赤鬼は、それが自分の強さだと思い、頑張っていることを押し付けていました。
自分を押し付けて押し付けて、押し付けたあとに、赤鬼は自分の周りに誰もいなくなっていることに気がつきました。
赤鬼はまた大きな声で泣きました。
また同じ過ちをしてしまったと、大きな声で泣きました。
涙が枯れるまで、赤鬼は泣き続けました。
泣いて、泣いて、泣いて。
たっぷり泣いたあと、赤鬼は思いました。
「ぼくは1人で何でも出来る、周りの人の気持ちが分かる、本当の強い鬼になるんだ」
強さ・弱さというものは、喋る者によって捉え方が全然違うもの。
一概にこれが強い・弱いとは言えません。
ですが、赤鬼は自分が思う強さをさらに発展させた"赤鬼らしい強さ"を見つけました。
赤鬼がこれで立派に強くなれるとは断定出来ません。
でも、赤鬼のこの経験が、またひとつ赤鬼の力になったのは、確かだと思います。
今日は節分。
赤鬼は恵方巻きを食べながら、心の中でこう願いました。
(見ててね、ぼくはもっと強くなってもどってくるからね。そのときは、きみをもっとしあわせにするからね。)
今日も生きたよ、明日も生きるね。
びゃくやちゃん
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